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ゲームに関係のない短い小説

短い小説。眠れなかったからテキトーに。

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  友人の葬式で会った以来、久しぶりに連絡をよこしたと思ったら挨拶もそこそこに「最近変な夢を見る」と言ったのは10年来の友人で、疲れてんのかなコイツと思った。おれだって昨日オランウータンと碁を打つ夢を見たばかりだ。たぶん疲れている。

  セブンイレブンで買って温めてもらったのり弁当が冷めるのがいやだったので、断りを入れて食べながら聴いたところによると、その夢というのは幽霊とゲームをする夢らしい。やっぱりおれと一緒だ。最後に食べる白身魚のフライを箸で避け避けしながら、オランウータンと幽霊とならどっちと遊べば楽しいかぼんやり考えた。

  どういうゲームなの? と尋ねるとモバダ、モバダと言うので、モバダ? なんか南の島の言葉かと訝しんでいたが埒が明かないので尋ねるとMOBAとかいうゲームのジャンルらしい。ふうん知らんな、それは楽しいのか? と訊くと「楽しい」とのこと。それはよかった。楽しいのはいいことだね。と本心から感じてそう言った。

  すると「いや重要なのはゲームのジャンルじゃなくて、幽霊とゲームしてるってとこなんだよ」と言うので、なに、なんか呪いのゲームみたいな、命の取引をさせられる系のおっかないやつなのかと訊くと、「いや、そんなのは全然ない。普通に遊んでてめっちゃ楽しい……でも幽霊と楽しくっていうのは、なんか死を望んでるみたいな深層心理の表れなんじゃないかなとか思って」鰹節ごはんを食べ終わってコロッケと白身魚のフライだけが残っている。

  おれはフロイトじゃないからよく分からんが、とエクスキューズを入れながら答えた。つまり、幽霊というと死後もなお抱き続ける怨みが強い念となって……みたいなイメージが強いけれども、お前が楽しくそいつとゲームしてるというのは、やっぱり相手は人間なんじゃないのか? 肉体はないけれども、声とかプレイングの癖とか、つまりそいつをそいつ足らしめる要素があって、つまり思念だけは確かにそこにあるが肉体の存在しない人間……別に幽霊だろうが人間だろうが、楽しく話ができれば変わらないし、それでいいんじゃないか?  

  すると「いや、やっぱり人間と幽霊は違う。人間だったらこうやっていつでも電話して話ができるし、飯にも誘える。幽霊と呑む為に、2名で、とかって予約入れられないだろ」とえらくムキになって反論してして、もう何の話かよく分からなくなってきたが、いつでも電話して話がとか、いくら連絡しても返事をよこさないで半年振りにやっと何か言ってきたと思ったら幽霊云々騒ぎ立てるやつがよく言うよなぁと少し腹が立った。おれからすればお前は幽霊だよ。……もう本当は解ってるんだろ?  昔から頑固なやつだった。白身魚のフライはすっかり冷めている。お前と呑む為の予約はもう入れられないけど、こうしてまた連絡を寄越せばいい。たまに話ができればそれでいいよ。

 

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おわり。